丿乀庵【へつぽつあん】

へっぽこプログラマーの覚え書き

分数の逆数と比例式(14)

今回は、倍分や約分の意味について、あらためて考えてみる。

分数の倍分や約分は、どんな数で倍分するか、どんな数で約分するかに関係なく、1を掛けることを意味する。

倍分は分母と分子の両方に同じ数を掛ける。約分は分母と分子の両方を同じ数を割る。これらは、どちらも、もとの分数に分母と分子が同じ分数を掛けることになるので、1を掛けることになる。

これは、実際に計算すると、分母と分子の数は変わるが、分数としての値(分子 ÷ 分母 の計算結果)は、もとの分数と同じであることを意味する。 

文字式で確認すると以下のようになる。 

①もとの分数 \ \frac{a}{b}\  \ \ m\ で倍分する。

 
\frac
{a \cdot \color{red}{m}}
{b \cdot \color{green}{m}}
=
\frac{a}{b}
×
\frac
{\color{red}{m}}
{\color{green}{m}}

 
=
\frac
{a}
{b}
×
1

②もとの分数 \ \frac{a}{b}\  \ m\ で約分する(1)
 
\frac
{\  
\frac
{a}
{\color{red}{m}}
\  }
{\  
\frac
{b}
{\color{green}{m}}
\  }
=
\frac
{a}
{\color{red}{m}}
×
\frac
{\color{green}{m}}
{b}
=
\frac
{a \cdot \color{green}{m}}
{\color{red}{m} \cdot b}
=
\frac
{a \cdot \color{green}{m}}
{b \cdot \color{red}{m}}
=
\frac{a}{b}
×
\frac
{\color{green}{m}}
{\color{red}{m}}

 
=
\frac{a}{b}×1

分数の割り算は、割る数の分母と分子を入れ替えて掛け算で計算するので、m の分母と分子の色が①とは逆になる。


なお、 \ \frac{a}{b}\ =\ \frac{j\ ×\ m}{k\ ×\ m} \frac{j}{k}\ は、 \frac{a}{b}\  \ m\ で約分した分数)とした場合、上記の約分の計算②を文字式で表すと以下のようになる。

③もとの分数 \ \frac{a}{b}\  \ m\ で約分する(2)

 \ \frac{a}{b}\ =\ \frac{j\ ×\ m}{k\ ×\ m} \frac{j}{k}\ は、 \frac{a}{b}\  \ m\ で約分した分数)

 
\frac
{\  \frac{j \cdot m}{\color{red}{m}}\  }
{\  \frac{k \cdot m}{\color{green}{m}}\  }
=
\frac
{\ j\ ×\ \frac{m}{\color{red}{m}}\ }
{\ k\ ×\ \frac{m}{\color{green}{m}}\ }
=
\frac
{j\ ×\ 1}
{k\ ×\ 1}
=
\frac{j}{k} × 1

②と③は同じ計算をしているので、 \frac{a}{b} = \frac{j}{k}となる。

分数の割り算を分数のまま計算するので、m の分母と分子の色は①と同じになる。