「人工知能は人間を超えるか」 (松尾豊(著)/角川EPUB選書)を読みました。人工知能の歴史やディープラーニングなどの機械学習について初心者にもわかりやすく書かれています。人工知能の将来については、期待を持たせすぎず、必要以上に恐怖をあおるわけでもなく冷静に現実的な立場で書かれています。
内容を完全には理解できていませんが、なるほどと思うことが多かったです。ただ、通して読んでみていくつか疑問が残りました。以下に疑問点を列挙しておきます。
なお、人間と同じように考えることができる人工知能のことを「本物の人工知能」と呼ぶことにします。
【疑問1】結局、本物の人工知能は作れないのか?
本書の基本テーゼは、人間の脳は電気回路と同じだから本物の人工知能を作れるはずだというものです。
この基本テーゼが言ってることは「脳を電気回路とみなしてそのしくみを調べれば知能のアルゴリズムを解明できて本物の人工知能を作れる」ということだと思います。
ところが、終章に『人間の脳をいくら調べても、知能のアルゴリズムがわからないのと同じである。』と書かれています。これって思い切り基本テーゼを否定しているのではないでしょうか。
となると、結局、本物の人工知能はできないということでしょうか。
【疑問2】生命抜きで知能だけを人工的に再現できるのか?
著者は生命と知能を別物として、知能だけを人工的に再現できると考えているようです。しかし、生命という土台がない状態で知能だけを再現できるのでしょうか。
再現できたとして、フレーム問題やシンボルグラウンディング問題を解決できるのでしょうか。
【疑問3】脳のしくみだけを再現すれば本物の人工知能を作れるのか?
著者は脳のしくみを解明できれば本物の人工知能を作れると思っているようですが、脳のしくみだけを再現すれば本物の人工知能を作れるのでしょうか。
作れるとしたら、生きている人間の体内から脳だけをとりだして培養すると体内にあったときと同じように考えることができるということなのでしょうか。
何も見えない。何も聞こえない。話すこともできない。今いる場所も向いている方向も時刻もわからない。計算は暗算のみ。起きているのか寝ているのかもわからない。そんな状態で、体内にあったときと同じように考えることができるのでしょうか。
- 作者: 松尾豊
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 中経出版
- 発売日: 2015/03/10
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