丿乀庵【へつぽつあん】

へっぽこプログラマーの覚え書き

掛け算の順序問題について考えてみた

私は算数や数学の専門家ではなく、数学を専攻していたわけでもありません。算数や数学が得意とか大好きというわけでもありません。むしろ算数や数学は大の苦手です。そのため、とんでもない間違いや思い違いがあるかもしれません。この記事は自分のための覚え書きとして書いています。

前置きはこれぐらいにして、かけ算の順序問題について考えてみたいと思います。

小学校の算数のテストで「6人にそれぞれ4個ずつミカンを配ったらミカンは全部で何個になるか」という問題で計算式を「6×4」と書いたら間違いになった。「4×6」だけが正解で「6×4」が間違いなのはおかしいんじゃないか。そういう問題です。

結論を先に書いておきます。私の考えは以下の通りです。

掛け算の順序を守らなければ間違いとしてもいい。ただし割り算の等分除と包含除のように掛け算にも2つの考え方があるからどちらの意味で使うのかで掛けられる数と掛ける数を何にするかを変えたほうがいい。

「2枚のホットケーキをそれぞれ4個ずつに切り分けたらホットケーキは全部で何個になるか」というような問題の計算式は「2(枚)×4(個ずつ)=8(個)」という順序を守る。

「2人にそれぞれ4個ずつミカンを配ったらミカンは全部で何個になるか」というような問題の計算式は「4(個ずつ)×2(人)=8(個)」という順序を守る。

上の結論に至った理由を以下に詳しく説明します。

掛け算の順序を守るべきだという人たちは「計算」と「式の書き方」をわけて考えているようです。

「6×4」も「4×6」も計算の結果は同じです。しかし、掛け算の式には(もとの数)×(何倍)という意味があって、掛けられる数(もとの数)と掛ける数(何倍)はそれぞれ働きというか役割が違います。「6人にそれぞれ4個ずつミカンを配ったらミカンは全部で何個になるか」という問題を「4(個)の6倍」と考えるのは正しいが「6(人)の4倍」と考えるのは間違っている。式に書くときも「4(個)の6倍」という意味になる「4×6」は正しいが、そうではない「6×4」は間違っているということのようです。

なるほどと思える理由です。しかし、だからといって掛け算の式の順序を守らせるために掛け算の式をすべて(○個ずつ)×(□人)といったような順序にするのは問題があります。「(○個ずつ)×(□人)」と「(もとの数)×(何倍)」は意味が重なる部分もありますが完全に同じではないからです。

その点について考えるために、割り算の等分除と包含除や、掛け算と割り算の関係や、について考えてみます。

割り算には等分除と包含除という2つの考え方があります。掛け算は割り算の逆演算です。割り算の計算とその結果を逆にたどれるように掛け算にも等分除や包含除と同じような考え方があってもいい気がします。

6÷3という計算を等分除で考えると「6個のミカンを3人で等しくわけたら1人あたりのミカンの数は何個か」というような意味になります。

6÷3という計算を包含除で考えると「6個のミカンを1人につき3個ずつ配ったら何人に配れるか」というような意味になります。

割り算の等分除と包含除に相当するものが掛け算にもあるのか調べてみましたが見つかりませんでした。ここでは仮に、等分除に相当するものを等倍乗、包含除に相当するものを包含乗、と呼ぶことにします。

等倍乗は「2枚のホットケーキをそれぞれ4個ずつに切り分けたらホットケーキは全部で何個になるか」というような考え方です。

包含乗は「2人にそれぞれ4個ずつミカンを配ったらミカンは全部で何個になるか」というような考え方です。

「(○個ずつ)×(□人)」と「(もとの数)×(何倍)」の意味が同じになるのは包含乗のときだけです。等倍乗で「(○個ずつ)×(□人)」という式を書くと「(何倍)×(もとの数)」という意味になってしまいます。

おそらく、今どきの算数のテストでは、「2枚のホットケーキをそれぞれ4個ずつに切り分けたらホットケーキは全部で何個になるか」という問題も、「2人にそれぞれ4個ずつミカンを配ったらミカンは全部で何個になるか」という問題も、計算式に「2×4」と書いたら間違いにされて「4×2」が正しいとされてしまうのでしょう。

だけど、「2枚のホットケーキをそれぞれ4個ずつに切り分けたらホットケーキは全部で何個になるか」という問題の計算式で「2×4」が間違いになるのだけはどう考えても納得できません。さすがにそれはまずいんじゃないかなと思ったので、上で述べたような結論に至りました。


2017.06.13追記

掛けられる数と掛ける数の働きの違いを理解していて「(もとの数)×(何倍)」という考え方がわかっていれば、ホットケーキの問題の掛け算の式は「2(枚)×4(個ずつ)=8(個)」と書くのが正解のはずです。


しかし、掛け算の式の順序は「(○個ずつ)×(□人)」だけが正解ということになると、本来正解のはずの「2(枚)×4(個ずつ)=8(個)」という答が間違いになってしまいます。それはまずいだろうと思うわけです。